欠けた器も再生!日本古来の修復技法の金継ぎで器に命を吹き込む

昔ながらの伝統や技術が昨今人気になってきているのですが、その一つに「金継ぎ」があります。「あぁ、金継ぎね。」と言う人もいれば、「何かしら。」と言う人もいるかもしれません。

金継ぎ(きんつぎ)とは、金繕い(きんつくろい)とも言って、陶磁器が割れたり欠けたりした時に、その破損部分を漆で接着して金などの金属粉で装飾することで修復し、器等を美しく生き返らせる技術を指します。

言葉と見た目から、一見金を使う贅沢な修復方法に思えるかもしれませんが、実際には漆が修復材料の中心になります。漆は、いわゆる塗料としての役割の印象が強いかもしれませんが、小麦粉や木の粉を混ぜると「接着剤」や「パテ」として使えるそうです。

金継ぎの魅力は、破損した器が修復でき、また使うことができると言う点がまず上げられます。大切な食器が割れてしまったらショックです。それが、金継ぎによって直すことができるのです。それだけでなく、修復された部分が金で新たに装飾され、深い味わいが生まれてきます。

逆に気を付けることとしては、漆を使う為、かぶれる可能性があることでしょう。ゴム手袋を付ければ多少なりとも避けられるでしょうが、絶対かぶれないと言う保証はありません。

ただ、「アレルギー体質だから。」「肌が弱いから。」ということではなく、単純に漆との相性の問題だと言う専門家もいたり、漆を扱う以上避けては通れないと言う人もいます。安心できる言い方をするとしたら、多くの人がかぶれた経験があります、ということでしょう。

それでもかぶれが心配と言う方は、本漆を使わない方法もあります。合成接着剤を使う簡単な金継ぎ方法です。本漆を使うのが本来の伝統的な方法ですが、本漆だとかぶれの問題以外にも時間もかなり掛かります。(長いと2~3ヶ月。)

簡単な金継ぎだと1~3日程度で、時間もあまり掛かりません。ただ、かぶれに関しては個人差があるので、絶対ないとは言い切れないですが、それでもかなりリスクは少ないです。なにより簡単にできるのがポイントでしょう。

ただし、材料を見ると、体にあまり良いとは言えません。できれば食器など口に含む心配があるものには使わない方がいいです。

本漆を使う場合と簡単な金継ぎとの中間になる、簡漆金継ぎと言う方法もあります。これは、本漆と合成材料の両方を使っています。ただし、表面の方に本漆を使うので、安全性で言っても両方の間と言えます。

昔からの伝統的な本漆を使った金継ぎは、先に説明した通り、かぶれる心配があり、時間もかかるのですが、安全性においては一番です。ただ、これだけは言えることは、かぶれは治らないのではと言う心配は不要です。必ず治ります。

肝心の教室や講座に通いたいと考える場合、今説明したことを知っておくと、教室選びの参考になります。実際には本漆を使うことが多いのですが、ここで説明した本当の材料、または手軽な合成の材料を使っているか、この違いを知って確認しておくことは重要です。

それよりも、「自分でできそう。」「近くに教室がない。」と言う方には、キットを買って自分でやってみる方法もあります。多少なりとも苦労する部分はあるかもしれませんが、今は動画もいろいろありますし、キットも10,000円せずに買えます。

いずれにしても、金継ぎは手軽に始めることができる日本の伝統的な技術の一つです。せっかくなので、自宅にある大切な器が欠けていたら、この金継ぎで生き返らせてみたらどうでしょうか。